蕎麦好きの独り言(2015.03.09up)

その壱六、「飲水思源」

ちょっとした「思い違い」というのは誰にでもあることなのだろうが、自分の場合は「思い込み」が絡んできて最終的には破綻する場合が多い。
デフレスパイラルなどという言葉が少し前に流行ったように記憶している。経済は専門外なので意味になんて興味もないが、余りよい言葉でないというのは想像できる。
spiralとは螺旋の意味があるようだが、ニュアンスとしては何かを巻き込むような感じや意味もあるのだろうか。

考えてみると世の中に存在する物は大きく括ると二つに分類されるように思う。プラスとマイナス、正と負は似たような意味なのだろうが、磁石は+と-は引き合うが、+と+や、-と-は反発する。極論かも知れないが世の中の全ての物はこの関係で成り立っているのではないかなんて考えてもいる。
生物が一番わかりやすく、集団生活を好むのもいれば、単独を好むものもいるように、これはある意味人間にも当てはまる。

英語にはoptimistとpessimistという便利な単語があるが、プラス思考の人と逆の人が共存するのが人間社会、他の生き物の世界がどうか知らないが、一度まじめにリキに聴いてみようと思っている。
ホント、ネコなんか見ているといろんな性格の個体がいるのだ。
回りくどくてすいません。一体何を言いたいのかと言えば下の写真を見ていただきたい。


  

以前紹介した金俣ソバの蕎麦粉を買い求めた折に、二種類の粉を買い求めたのだが、そのうちの一つ「北早生」と言う品種の粉は打ち終えていたのだが、この日はもう一つの粉でやろうと上記の写真を撮った。
計量を終え一回目の水回しを終えた時に、なんか変な感じなのだ。
何が違うのかと言えば、

まず香りが全然立たない。

次に手触りが全然違う。

異様に手に引っ付く…

オラの嗅覚はほとんど麻痺しているので相方に言って香りを嗅いで貰ったら、やっぱり香りがしないという…


こりはやっぱり変だと言うことで、ゴミ箱に捨てた袋を引っ張り出してラベルを確認すると…
「金俣蕎麦粉」ではなくて
「金俣小麦粉」と大きく表示されているではないか…

ガ〜ン!!

この時初めて小麦粉を蕎麦粉と思い込んでいたことに気付いたのだ。


ここからがその人間の本質が見えてくるところで、自分はどうしたかというと…

 1.潔く捨てる。
 2.蕎麦でなくうどん打ちに変更する。
 3.魚釣りの餌にする。
 4.ピザにする。
 5.天ぷらを大量に作る。
 6.怒ったふりをしてごまかす。

もっといろんな方法があると思うのだが、自分としては不本意ではあったが、潔く捨てました。
この方法が今の自分の性格を上手く表しているのかどうかはわからないが、それでどうしたかというと、下の写真の粉で打ち直したのでありまする。


  

と言うのもこの日は友人達との約束があり、それぞれ好みの食材を持ち寄り一杯呑もうと言うことになっていたのだ。時間もないのでどうしようか迷ったが、幸いにも買い置きの蕎麦粉があったので大急ぎで打ち直した。
「最上早生」という品種は初めて使うのだが、なかなか良い感じで打つことが出来た。
いつもは市販のめんつゆを使って食べるのだが、この日は相方が奮闘してくれ、わざわざ出汁を取り、香り高い最高の蕎麦たれを準備してくれた。
ここまでして作った蕎麦が不味い訳はなく、友人達には蕎麦があまり得意でない人もいたようだが、数あるご馳走の中で皆で一番最初にきれいに平らげたのは言うまでもない。


  

改めて皆が蕎麦を食らう姿を観察していたら、実にいろいろな食べ方があるもので見ていて参考になった。個人の嗜好なので周りがとやかく言う必要もないのだが、正直ああもったいない食べ方だなあ…と思ったのが本心です。
どういう事かと言えば基本的な蕎麦の考え方が「かけそば」なのだ。通常の蕎麦チョコより大きな器にたれをまんべんなく注ぎ、ネギ等の薬味を投入し(もちろんワサビも)蕎麦を一つまみと言うか一口で食せないほど大量に投入し良くなじむようにかき混ぜる。すぐに食べるかと思いきや暫く放置し会話に熱中し忘れた頃にすすり込む。

まあ、美味しく食べていただいたようなので文句はないのだが、正直もう少し蕎麦自体の風味や喉ごしを楽しんで欲しかったと内心思っておりました。
自分の感想は、いつも食べていた「でわかおり」より風味が強い感じがした。師匠の助言では、太打ちの田舎蕎麦風に仕上げて食べると美味しいよと言われていたのだが、そんな器用に打ち分ける程の技術はないのでいつも通りの打ち方でやったのだが、今まで作った中で、香り、喉ごし、風味のバランスが一番良い感じの蕎麦に仕上がっていました。もちろん相方の作った蕎麦つゆが、抜群の相性で美味さを倍増させてくれたのは言うまでもありません。

そんな感じで気分良く宴会は進んで行ったのだが、田舎のおじさん達の酒飲みは嘆かわしいほど芸がない。
どういう事かと申せば、いくら美味しいご馳走が並んでも酒に勝るものはないと言う普遍的原理に改めて気付いた次第である。終盤ほとんど全てのオヤジ達は壊れてましたね…
最終的には自分の世界観を語り始める。おのおの勝手に本能の赴くままに思い込みをね…
いつの時代にも酒という飲み物は、限りなく大きな力を内包しているものです。
けれども決して水には敵わないことを、誰もが嫌になるほど知っているのにねぇ…

やれやれ